- 20代でiDeCoを始めたいけど、どんな配分にすればいいかわからない
- 大きな利益は狙いたいけど株式100%は怖い
- そもそも自分に合った資産配分の決め方がわからない
20代にとってiDeCoの資産配分はとても重要です。配分を間違えると「40年間積み立てたのに期待したほど資産が増えず老後資金が不足する」という状況がよくあります。
本記事では、20代でiDeCoを運用する際のおすすめ配分だけでなく、失敗しないコツや注意点を紹介します。
この記事を読めば、自分に合った最適な資産配分を決められるようになり、40年間の長期運用で最大限のリターンを狙えます。
20代からのiDeCo運用は、株式メインの成長型(株式100%)の積極配分がおすすめです。
20代 iDeCoのおすすめ配分は株式メイン

20代のiDeCoおすすめ配分は株式メインの「成長型」です。20代は40年以上の「時間」を武器にできるため、高リスクでも高リターンを目指せます。
ここでは、具体的な配分タイプを紹介します。
リスク許容度別3つの配分例
リスク許容度(どれだけリスクを受け入れられるか)に合わせて、具体的な3つの配分例を紹介します。
| タイプ | 株式 | 債券/元本確保型 | リスク | リターン | こんな人におすす | 
|---|---|---|---|---|---|
| 成長型 | 100% | 0% | 高 | 大 | ・40年の時間を最大限活かしたい ・短期的な元本割れは気にしない | 
| バランス型 | 50% | 50% | 中 | 中 | ・元本割れは怖いけど増やしたい ・まずは中間から始めたい | 
| 保守型 | 20% | 80% | 低 | 小 | ・とにかく元本割れを避けたい | 
20代は運用期間が40年と長いため「 成長型(株式100%)」で長期的なリターンを最大限に狙うのがおすすめです。
とはいえ「株価が半分になるような暴落が怖い」と感じる方もいるはずです。その場合は、無理をせず「 バランス型」から始め、投資に慣れてきたら配分を見直す、といった方法で問題ありません。
ご自身の「心の安定」を第一に、長く続けられる配分を選びましょう。
20代が株式メインにすべき理由
20代は株式メインの配分がおすすめです。20代は、運用期間が長いため株式市場で下落があっても十分に資産の成長が狙えるからです。
そもそも株式とは、企業の成長にお金を投じることです。世界経済が長期的に成長を続ける限り、株価もそれに連動して右肩上がりの成長が期待されます。短期的には経済危機などで大きく値下がる場合もありますが、20代には市場が回復・成長するのを待つ十分な時間があります。
過去の歴史的な株価チャートを見ても、世界経済は数々の暴落を乗り越えながら成長を続けてきたことがわかります。

20代から始めた場合の運用シミュレーション

iDeCoで人気の株式型投資信託は過去5年間で平均4%前後のリターンを示しています。ここでは、年利4%で運用をおこなった場合のシミュレーションを紹介します。
月1万円×40年(年利4%)運用した場合
「いきなり月3万円は難しい…」という方でも、月1万円から始めればどうなるでしょうか。
20代でiDeCoを始め、月1万円の積立を40年間続けた場合の資産シミュレーションを見てみましょう。ここでは、全世界株式など長期投資の平均年利4%で算出します。
| 項目 | 金額 | 
|---|---|
| 毎月の積立額 | 1万円 | 
| 総積立額 | 480万円 | 
| 運用結果 | 約1,140万円 | 
| 運用益 | 約660万円 | 
「たった月1万円」と侮ってはいけません。この表から分かる3つの事実は次の通りです。
- 月1万円の積立でも40年後には資産が1,000万を超える
- 積み立てたお金より「増えたお金」が多い
- 約134万円の税金がゼロ
この結果こそ、20代の強みである「時間」が、iDeCoにおいて強力な武器になるかをはっきりと示しています。
月3万円×40年(年利4%)運用した場合
もしあなたが20代でiDeCoを始め、月3万円の積立を40年間続けた場合、将来の資産はどうなるでしょうか。ここでは、全世界株式など長期投資の平均年利4%で算出します。
| 項目 | 金額 | 
|---|---|
| 毎月の積立額 | 3万円 | 
| 総積立額 | 1,440万円 | 
| 運用結果 | 約3,525万円 | 
| 運用益 | 約2,085万円 | 
この表から分かる3つの事実は次のとおりです。
- 老後2,000万円問題をクリア
- 最終的な資産の「半分以上」が利益
- 約423万円の税金がゼロ
このように「複利の力」で資産を大きく育て、「税制優遇」でその利益をまるごと受け取れる点こそ、iDeCoが「最強の老後資金準備の手段」と言われる最大の理由です。
30代・40代でiDeCoを開始した場合との差額
スタートが10年遅れると将来の資産に数百万円、20年遅れると1,000万円以上の差額が出る場合があります。
iDeCoは、早く始めるほど「複利(ふくり)」の効果が雪だるま式に大きくなるため、20代からのスタートが圧倒的に有利です。
「複利」とは?
運用で得た利益がさらに新たな利益を生み出してくれる仕組みのこと
元本が早く大きくなるほど、その効果は絶大です。
たとえば、iDeCoの非課税メリットを活かし、想定利回り5%で運用できた場合の資産シミュレーションを見てみましょう。
| 開始年齢 | 運用期間 | 月1万円 | 20代開始との差額 | 月3万円 | 20代開始との差額 | 
|---|---|---|---|---|---|
| 20代開始 | 40年 | 約1,526万円 | ー | 約4,578万円 | ー | 
| 30代開始 | 30年 | 約832万円 | – 694万円 | 約2,496万円 | – 2,082万円 | 
| 40代開始 | 20年 | 約411万円 | – 1,115万円 | 約1,233万円 | – 3,345万円 | 
表を見ていただくと分かる通り、月1万円の積立でも、スタートが10年遅れるだけで将来の金額に約700万円差が出ます。これが、いわゆる「時間の力」です。
iDeCoにおいて、時間は最大の味方です。10年後に「あの時始めておけばよかった」と後悔しないよう、できるだけ早くスタートを切ることが大切です。
20代がiDeCoを失敗しないための4つのコツ

20代は老後まで40年以上の運用期間があるため、iDeCoの恩恵を最大限受けられます。20代がiDeCo運用をする上で失敗しない4つのコツをご紹介します。
無理のない掛金設定にする
20代のiDeCo掛金は無理のない範囲、手取り収入の5~10%以内を目安に設定しましょう。
将来のライフイベントで家計が圧迫されるリスクを避けるためです。結婚、住宅購入、子育て費用などの大きな支出に備え、余裕資金の範囲内運用が大切です。
まずは月5,000円~10,000円程度の少額からスタートし、収入が安定してきたり昇進・転職で収入が増えたりした際に段階的に増額する方法がおすすめです。掛金は年単位で変更可能なため、収入状況に合わせて調整しましょう。
年1回の見直しで配分を最適化する
iDeCoを開始したら、年1回の定期的な見直しとリバランス(資産配分の調整)をおすすめします。
リバランスとは、時間の経過とともに変化した資産の割合を、当初に決めた目標の割合に戻すこと
iDeCoでは、値上がりした株式の一部を売却し、保有資産の売買(スイッチング)手続きでリバランスをおこないます。

たとえば、株式100万円・債券100万円で始めた運用が、株価上昇により株式150万円・債券100万円になった場合、合計資産は250万円です。
しかし株式の比率が当初の50%から60%に上昇したため、株式の値動きに影響を受けやすくなっています。つまり、想定以上のリスクを負っている状態です。
この場合のリバランスは、株式から25万円分を売却して債券を購入し、株式125万円・債券125万円の元の50%・50%の配分に戻すことを指します。
プロの助言を活用して失敗を防ぐ
投資初心者の20代は専門家の助言を活用し、適切な商品選択で運用失敗リスクを回避しましょう。
個人のリスク許容度や将来目標に応じた商品選択は初心者には困難です。手数料など長期運用の中で大きな損失となる可能性があります。
検索サイトで「地域名」+「ファイナンシャルプランナー」と打ち込んで検索してください。専門家が見つかりますので、iDeCoの無料相談を検討してみてください。
20代がiDeCo運用をする際の3つの注意点

iDeCoは老後資金形成に有効な制度ですが、20代が活用する際には特有のリスクや制約があります。事前に理解しておいた方が良い3つの注意点を解説します。
金融機関選びで手数料に差がつく
iDeCoは金融機関によって運営管理手数料が異なります。手数料のわずかな差が40年後には数十万円の差となるため、金融機関選びは慎重におこないましょう。
iDeCoには国民年金基金連合会などに支払う手数料(全金融機関共通)と、金融機関独自に設定している「運営管理手数料」があります。この運営管理手数料が無料のネット証券を選ぶのが鉄則です。
たとえば、月額330円の手数料がかかる金融機関と、無料の金融機関を比較すると、40年間で支払う手数料の差は 158,400円(330円 × 12ヶ月 × 40年)にもなります。これは完全に避けられるコストですので、必ず手数料が無料の金融機関を選びましょう。
60歳まで引き出せない

iDeCoは、基本的に60歳まで引き出しできません。
老後資金の確実な積立を目的とした制度設計になっているため、緊急時でも例外なく資金が拘束されます。20代は結婚・住宅購入・転職・病気など予期せぬライフイベントが多発する時期で、急な資金需要に対応できないといった状況も考えられます。
もし入院・手術、転職・失業など、急な出費が発生しても資金は引き出しができません。運用を開始する人は流動性リスクを十分理解し、当面使わない余裕資金のみでおこなう掛金設定が重要です。
元本割れのリスクがある
iDeCoで「投資信託」を選ぶ場合、銀行の預金とは異なり、資産が減ってしまう「元本割れ」のリスクがあります。
元本割れとは、運用後の資産価値が、ご自身が投じた資金(元本)を下回ってしまう状態です。投資信託の価値は、世界中の経済や株価の動きに合わせて毎日変動しているためです。景気が悪くなれば、資産の評価額も下がります。
具体的に、元本割れがどのような状態か、簡単なシミュレーションで見てみましょう。
| 項目 | Aさん(うまくいった場合) | Bさん(元本割れした場合) | 
|---|---|---|
| 自分で積み立てたお金(元本) | 12万円(月1万円×12ヶ月) | 12万円(月1万円×12ヶ月) | 
| その間の市場の動き | 景気が良く、株価が上昇 | 景気が悪く、株価が下落 | 
| 1年後の運用結果(評価額) | 13万円 | 11万円 | 
| 損益 | + 1万円の利益 | – 1万円の損失 | 
| 状態 | 利益が出ている | 元本(12万円)を下回っている → これが「元本割れ」 | 
このように、投資信託を選ぶ以上、元本割れは誰にでも起こり得るリスクだと理解しておくことが大切です。
ただし、ここで知っておくべき事実があります。
その事実は、本記事の前半「20代が株式中心にすべき理由」の章で、歴史的な株式チャートを提示しながら既に解説しています。市場が一時的な暴落を経験しても、長期的に見れば回復・成長してきた点について、詳しくはそちらの章をご参照ください。
まとめ|20代のiDeCo運用は株式メインがおすすめ
結論として、20代におすすめな配分は「株式100%」の積極的な配分です。
なぜなら、あなたには「40年」の「時間」という武器があるからです。
記事で確認した歴史的チャートの通り、市場は短期的な暴落(元本割れ)を繰り返します。しかし、長期で見れば経済は成長し、株価はそれを乗り越えてきました。
20代のあなたはその「回復」と「成長」の果実をまるごと受け取れるため、リスクを恐れすぎる必要はありません。
もちろん、「元本割れが怖い」という不安もあるでしょう。その場合は、株式と債券を組み合わせた「バランス型(8資産均等など)」から始めるのもおすすめです。
ポイントは、iDeCoは「60歳まで引き出せない老後専用資金」という点です。貯金があっても、ついつい取り崩して使ってしまう方にとっては、この「60歳まで引き出せない」という制約こそが、老後資金を確実に護ってくれます。
まずは月5,000円からで構いません。「時間」という最大の武器を活かして、将来のための資産形成を今日からスタートさせましょう。

 
			 
			 
			 
			
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